2024年は能登半島の震災で明けました.それに関連して航空機の事故も発生しました.先の地震の記憶が薄れかけてきた時期でしたが,災害による構造物や機械装置の破損について再認識することとなりました.一方,3月には北陸新幹線の福井まで延伸があり,鉄道技術の進展を確認することができました.
さて,強度設計・安全性評価部門員会は,新幹線車軸の研究で著名な中村 宏の呼びかけにより1983年に設置されました.すでに,40年余りを経過しましたが,関係者の支援により成果が積み重ねられています.そして,奇しくも,本年は中村先生の生誕100年の年であることが関係者の間で共有されています.
昨年,当部門員会のWebサイト整備に当たり,関係者より設立趣意書と承認依頼書の提供がありました.趣意書には,本部門委員会の主目的が“現場におけるNeeds,研究分野における成果についての情報交換と,とりまとめを行い学理と実際を結びつけること”と記されています.さらに,その活動については,具体的な部材(軸,歯車,ボルト,翼,ピストンクラウン,タンク類,溶接継手,これら部材を組合せた単純な機械類から複雑な機械への展開)に対してテーマを設定し,委員会および“ワーキンググループ”において実施するといった記載があります.
今年度より,当部門委員会は当初の設立趣意にしたがい,ワーキンググループ活動を再開することにいたします.会の趣旨にふさわしい活動テーマをご提案いただければ幸いです.活動の成果については,委員会,シンポジウムでの発表,さらには出版物として公開していきます.ご支援をよろしくお願いいたします.
2024年4月1日
日本材料学会会員の皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます.併せて,平素は強度設計・安全性評価部門委員会の活動にご協力を賜り,厚くお礼を申し上げます.
私共の部門委員会は1983年4月に創設され,本年度は40年を迎えました.材料特性,強度評価,応力解析,破壊力学,応力測定,外力推定,信頼性解析などの先端的研究成果を,現実の問題に対して効率的に適用することを目的として活動して参りました.
主に産業界で生じた強度・安全上の不具合事例の紹介と分析を中心に活動して参りました.しかし,社会・経済・企業経営の環境変化などもあり,従来のままの考え方で活動を継続するのは難しいと考え,2022年度より新たな基本方針と実施事項について検討を重ねて参りました.その内容につきましては,本サイトの活動方針をご覧いただきたいと思います.
強度や安全に対する学術研究は,疲労,破壊力学,高温強度,X線材料強度,信頼性工学などの部門委員会で鋭意進められております.その活動には多くの企業が参画されておられ,夫々の立場でその成果を企業活動に活かし,機械・構造・設備などの安全を保つための努力を払われていることと推察致しております.
しかし,直近では深海潜水艇の事故など,強度や安全にかかわる基本的な知見・経験が根付いていないと感じさせる事例も起こっております.特定の産業界や大手企業では研究成果と実務とが近い関係になっていたとしても,もの造りの殆どの部分を支えている中堅・中小企業の活動に配慮することも,強度・安全にかかわる研究者,技術者の責務と考えております.
特定の産業界や企業で得られた知見・経験・情報は他の技術分野,産業界,企業にとっても有益な面が多々あると認識致しております.
このような事を実践していくには,様々な困難があり,簡単ではないことは承知しております.出来ることから実施していく他はないと考えております.
どうか,皆様のご理解・ご協力のもと,弊部門委員会の活動を後押ししていただきますようお願い申し上げます.
2023年7月吉日